第十九章 ここに在る思い出 四

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「俺の両親が、信哉に握り飯を渡した。これって、凄い偶然だよね……」  俺のルーツは親になる。田舎で、米を作っている。 食べ物は、自然を見ながら育てるものだと、俺は身に染みて分かっている。 嵐が来ると、田が心配になる。 「ああ、少し分かった……」  こんな時に、B君の思想が分かった。 B君は、全てを消すための死であるのだ。 子供の遊び続きのような死は、全て無に繋がっている。 子供が親を殺すのは、過去との決別であり、親が子供を死に追い詰めるのは、 未来の喪失であった。  痛みを無くす事ができるB君だからこそ、到達した死のシステムであった。 「全てをゼロにしてゆくシステム。ZERO―SYSTEMと名付けるよ、B君」  これで、弥勒は全員揃った。
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