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手紙を渡して二年。
弟は、新卒で就職した仕事をすぐに辞め、二つ目の仕事に就いた。馴染めなかったそうだ。
ゆとりはダメだダメだ、と散々罵倒されたとも聞いた。
正社員から契約社員。
今なら兄貴の言ってたことが少しだけ分かる、という。
もう後には引けない、と朝から晩まで必死で働いている弟に、学生時代の面影はない。
五年続けて働いて、正社員になることが今の目標だ。
人生、必ず成功も失敗もして、時に回り道だってする。
久しぶりに弟と飲んだ。会社終わりに六本木で。
僕の手紙は役に立ったかどうかわからないし、正解がなにかもわからないが、パリっとしたシャツにすっきり切り揃えられた爪。ハキハキと、それでいて謙虚に注文をとる弟を見て、お互い社会人になったのだな、と思う。
どうか、頑張る若者に、明るい未来が待っていますように。
頑張る後輩たちのためにも、僕自身、もっともっと仕事を頑張ろうと思う。
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