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勇者だって?
このハムスターの容姿で勇者?
異世界から来た勇者?
いやいや、ないない。ありえない。
ハムスターにまで詐欺の被害が及ぶ世界ですか。なんという世知辛い世界なんだ。
<おい、無礼だぞ。勇者様にそのように近づくものではない。控えろ。>
<貴様こそ、その荒い鼻息で勇者様を吹き飛ばさぬように、離れていろ。>
いやいやいや、まずは、その『勇者様』が鼻息でどこかへ飛ばされることに、おかしいと気づけ。
だが、私は大蛇と大鳥の会話が理解できてしまうことに、驚きを隠せずにいた。
私が勇者ということについては、かなり疑わしい。神も仏もない世界に、勇者?とも思っている
姿が変わったことに気づいてから、すぐに遭遇したことといい、ケンカして先を争ってまで駆けつけてくれたことといい、勇者探知機でもあるの?
見張られてるみたいで怖いんだけど?
女神とかならともかく、いや、それでも無理があるんだけど、勇者はさすがに勘違いだろう。
ハムスターに向かって『勇者様』とか、笑えないわ。
それにしても、思念での会話って、考えていたよりもシュール!
小心者の私はココロの中でそんなことを思っていた。
ココロは人間、カラダはハムスター。
いつか人間の姿になることはできるのだろうか?
それはまた、別のお話。
不完全な半分ずつの私が異世界に転生したある日のことだった。
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