こんな転生ありですか?

6/6
前へ
/6ページ
次へ
 勇者だって?  このハムスターの容姿で勇者?  異世界から来た勇者?  いやいや、ないない。ありえない。  ハムスターにまで詐欺の被害が及ぶ世界ですか。なんという世知辛い世界なんだ。 <おい、無礼だぞ。勇者様にそのように近づくものではない。控えろ。> <貴様こそ、その荒い鼻息で勇者様を吹き飛ばさぬように、離れていろ。>  いやいやいや、まずは、その『勇者様』が鼻息でどこかへ飛ばされることに、おかしいと気づけ。  だが、私は大蛇と大鳥の会話が理解できてしまうことに、驚きを隠せずにいた。  私が勇者ということについては、かなり疑わしい。神も仏もない世界に、勇者?とも思っている  姿が変わったことに気づいてから、すぐに遭遇したことといい、ケンカして先を争ってまで駆けつけてくれたことといい、勇者探知機でもあるの?  見張られてるみたいで怖いんだけど?  女神とかならともかく、いや、それでも無理があるんだけど、勇者はさすがに勘違いだろう。  ハムスターに向かって『勇者様』とか、笑えないわ。  それにしても、思念での会話って、考えていたよりもシュール!  小心者の私はココロの中でそんなことを思っていた。  ココロは人間、カラダはハムスター。  いつか人間の姿になることはできるのだろうか?  それはまた、別のお話。  不完全な半分ずつの私が異世界に転生したある日のことだった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加