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こんなちっこいカラダで何ができるっていうんだろう。
そもそも、この世界で数時間も生き延びれる気がしない。
辺りは薄暗い鬱蒼とした森。
隠れる場所なんてあちこちにあるが、その隠れ場所には先客がいるのがわかった。みんな息を潜めて注意深く辺りを窺っている。
キョロキョロと見回すが木々が生い茂り、テレビの中で見たような亜熱帯のジャングル風景だ。
チラチラと視界の端に見える謎の生き物たちを見習って、警戒すべきかもしれない。
自分の姿を確認していた水溜まりを避けながら、ソロリソロリと近くにあったでかい葉っぱに身を隠した。
静かに周囲を観察すれば、鱗を光らせ大きな黒い蛇が太い木の幹に巻きつき、これまた、大きな色鮮やかな鷹のような鳥が異常なほど静かに左右から現れた。
あの場所でぼんやりしていたら、小さいカラダは潰されて居たかもしれないと思うとゾッとする。
私はじりじりと後退するように観察をしていた顔を葉っぱで隠した。
目をつけられてしまえば、一巻の終わりだ。
そして確実にエサだ。
新鮮なエサ極小。
もし、見つかったとしてもオヤツにもならない私など、捨て置いて貰えればいいのだけど。
左から、シュルシュルとかすかな音が聞こえる。
右から、こちらに近づく葉擦れの音が聞こえる。
ッ!ちょっ……私、挟まれてる!?
葉っぱの向こうを覗く勇気が今の私にはない。
そして、それは突然起こった。
強い風が吹き、その風圧で私の隠れていた葉っぱが捲り上がる。吹き飛ばされないように地面に爪を突き立てた。
目の前では、大蛇VS大鳥の戦いが繰り広げられていた。
ワタシノタメニ アラソワナイデ!
そんなアホな思考を読み取ったのかどうかは不明だが、あきらかに冷ややかな視線が私に向けられた気がした。
…………。
軽い冗談だよ!余裕なんてこれっぽっちも無かったよ?!極度の緊張に耐えかねた末にポロっと考えちゃっただけだからね?!
エサなんて、いやだよっ!
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