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土くれが小さなカラダに降りかかってくるのが見えて驚愕に目を見開く。
あんな人間の拳大の土くれでも逝けるかもしれない。
そこに、丁度良く大蛇の尻尾が降りかかるはずの土くれを凪ぎ払い、細かい土くれは大鳥の風圧でその方向を変えた。
助かったとホッとする間もなく暴れまわる1匹と1羽。
大鳥が大蛇の瞳を狙い硬い嘴で抉ろうとし、かと思えば大蛇はその太く長い体をくねらせ大鳥に巻きつこうとする。
それはなるものかと、大鳥は上空に距離を置こうとするも木々に阻まれ高度を上げることは出来ないようだった。
しばらくすると、風圧がなくなり同時に煽られていた葉っぱが頭上に戻る。ともすれば、耳を塞ぎたくなるようなベキバキとした破壊音が響き、じきに聞こえなくなった。
勝負は着いたのだろうか。
プルプルと小さくなった体が震える。
さっさと立ち去って…!
今後、更に悪い状況でこのような恐怖にずっと晒されながら生きて行かなければならないのかと思うと涙が出そうだ。
どちらの勝ち負けでも、その食べごたえのありそうな相手で満足してくれればいい。僅かな望みにすがりつきながら、目の前から立ち去るのを待った。
………………。
視線を下げると被っている葉っぱより下から見えるあの体躯はなんだろうか。
左は漆黒の鱗を纏った何かが、右には紅い燃えるような羽に包まれた何かが…私のすぐそばで待機しているのが見えた。
嫌なチラリズム……!なんだコレ?恐怖しか沸いてこないよ?!
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