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【降霊機】っていうアプリ。
今でもあるのかな?
「〇〇診断メーカー」とか、「前世診断」みたいなものの延長線上にあるようなものなんだけど、このアプリの場合は、性格や運勢を診断するんじゃなくて、イタコや霊能者のように、死んだ人の魂を呼び寄せることが出来るっていうんで、学校で話題になっていたんだよ。
やり方は簡単。
アプリを開くと、まず、おどろおどろしい雰囲気というよりも、どこか爽やかな印象さへ受ける恐山の映像と、注意事項が流れる。
次に画面に映し出されるのは、入力項目。
そこに、呼び寄せたい故人の氏名と死んだ日にち、年齢、死因を入力するのだが、入力した途端、画面が真っ暗になるんだ。
まるで……パソコンが霊界と繋がったかのようにね。
女の子なんかと一緒にやると、その瞬間に悲鳴が上がって盛り上がるわけなんだが、そこからが、このアプリの演出のうまいところ。
【交信中……交信中……】
黒くなったスクリーンに、赤い文字が点滅しだす。
数秒から数分間、無音でずっと繰り返される点滅は、徐々に見ている者に不安を与える不気味さがあるのだが、呼び出した霊が回りにいなければ、「成仏したか、生まれ変わったか……」とかいうメッセージが出て終了。
この時、多くの人は「なんだ。つまんねーの」って思い、再度、違う故人でチャレンジする。
逆に、呼び出した霊がいると、再び恐山の風景が出て来て、更には――
「今あなたの家の廊下を歩いています……」
「あなたの後ろにいます」
降霊が成功し、その霊が徐々に自分の傍に近付いてくるようなコメントがアップされ、最後には、「いらっしゃいました」という言葉が画面に現れるんだ。
この後の出来事は人それぞれ。
怖い画像や動画で驚かすとかっていうオチではなく、プツンッと電源が落ちたり、画面が再び真っ暗になったり、フリーズしたりと。
どこか素人くさい作りが、これまたホンモノの降霊機っていう感じがして、肝試し的に真夜中にやって、実況メールや電話をしてくる奴もいた。
とはいえ、あくまでもアプリ。
皆、霊の存在なんて信じちゃいなかったわけなんだけど――
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