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「佐々木のどこがいいの?」
「……好き……って、言ってくれたから」
諦めて言うと、千紘は大袈裟に溜息を吐いた。
「そんなもん、俺だっていくらでも言ってんだろ」
「そうなんだけどさ。なんか、新鮮だったって言うか、多分、千紘以外では初めて……」
女以外はね。
「やっぱりお仕置きだな、今夜は寝れると思うなよ」
「え、お前、その為に早々に梨那さんを送って……」
「ご名答」
言って喉に歯を立てられた。
「……っ……!」
「俺から逃げるなよ、アキ」
歯を立てた場所に、舌を這わせながら言う。
「ずっと俺のそばにいるんだよ」
傲慢で、綺麗な、俺の千紘がそう言う。
「ん……いる……」
今度は肩を噛まれた、その痛みすら嬉しい。
「ずっと、そばにいる……千紘の傍に」
それは、永遠に束縛される、愛しい言葉だと思った。
千紘、俺を見つけてくれてありがとう。
あの日、お前が見つけてくれなかったら、俺は人を愛する意味を知らずに生き続けたかもしれない。
でもお前がいてくれたから。
苦しくてつらい時もあるけど、お前がいてくれたらいい。
ずっと、ずっと、そばにいるよ。
終
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