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「そりゃあ、大変でしたよ」
迷った挙句僕は
賭けに出るみたいな気分で笑った。
「本当にね」
シリアスにしたくなかった。
「ごめん」
「謝らないで。あなたのせいじゃないよ。あれはただの戯れ」
彼の為にも
自分の為にも――。
「知ってるでしょう?我が家の悪癖」
手首を返して軽口の一つや二つ
叩いてやれば
『これ見て。その後鞭でぶたれたの』
『あの人つい自分を見失って。それで僕も』
『成り行きだったの。この3日間は――多分ずっと酔ってた』
調子のいい言い訳が
無数に浮かんでは消えていった。
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