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「だけど――わざわざ僕を呼び出したのはそのせいだろう?」
「ああ、ええと……」
ごく単純に食事に誘いたかったんだと言えれば
どんなにいいか――。
「それがその……」
僕はカメラを気にして
正確にはカメラの向こうで僕らを見張っている目を気にして
「あなたに話さなくちゃいけないことが……あったように思うんだけど……」
曖昧に言葉を濁し俯いた。
「何があった?」
勘の鋭い人だ。
「ちょっと待って……」
「え?」
「なんだい?それ」
そして目もいいみたい――。
(……しまった!)
見ればカフスボタンが外れて
僕の手首が――。
縛られ擦り切れた痕のくっきり残った手首が
露わになっていた。
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