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「何でもない。何でもないの……」
まさか、こんなに早く――。
メインディッシュも運ばれてこないうちに
こんな話になるなんて。
「いやっ……何なさるの……こんなとこで!」
僕が戸惑っている間にも
九条さんは強引に僕を立ちあがらせて
背中からシャツを捲ていった。
そして
「何なの……これは……」
もちろんこの惨状に唖然としたわけだ。
「これは……」
皮肉にも僕らは
ちょうど隠しカメラに収まる形で立ち尽くし
九条さんさは無言のまま繊細なその指で辿った。
僕の背中に這う
無数の赤い鞭の痕。
両手首にそのまま残った
生々しい拘束の痕――。
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