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「こんなことって……」
九条さんは言い淀む。
と同時
「あ……」
悪いタイミングで入ってきたウエイターを振り返り
「すまないが……しばらく外していてくれ」
どうにか平然を保とうと
感情を殺した声を振り絞った。
「スープの方は……」
しかし可れなウエイターは
熱いスープを提供しに来たばかりに
「言っただろ、出てけ!――コースはストップだ」
滅多に怒ることのない
貴公子の逆鱗に触れることに――。
「怒らないで……」
僕はこの人に愛されることはあっても
叱られることには慣れていないので
恐ろしくてわなわなと震えていた。
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