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「たくさん食べてますよ。この通り――」
それでも不安げな彼を宥めようと
僕は手つかずのアミューズを何とか笑顔で口に運ぶ。
と唐突に
「ごめんね――」
九条さんが言った。
「僕がいない間に征司くんがうちの家族を夕食に招待したって――貴恵に聞いたよ」
「え……?」
「君が食い止めてくれたんだってね」
知ってたんだ。
それなら――。
どこまで知ってる?
どこまで聞いた?
「……和樹?」
分からないから
かわす言葉も見つからない。
だけどこの僕が黙り込んでいるのは
きっともっと彼を不安にさせる。
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