episode220 調教の痕

9/30
前へ
/30ページ
次へ
「たくさん食べてますよ。この通り――」 それでも不安げな彼を宥めようと 僕は手つかずのアミューズを何とか笑顔で口に運ぶ。 と唐突に 「ごめんね――」 九条さんが言った。 「僕がいない間に征司くんがうちの家族を夕食に招待したって――貴恵に聞いたよ」 「え……?」 「君が食い止めてくれたんだってね」 知ってたんだ。 それなら――。 どこまで知ってる? どこまで聞いた? 「……和樹?」 分からないから かわす言葉も見つからない。 だけどこの僕が黙り込んでいるのは きっともっと彼を不安にさせる。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

124人が本棚に入れています
本棚に追加