音楽室

3/4

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
「それで、うまくいきすぎたって、どういうこと?」 「安奈と同じよ。2人目に声をかけたオジンが線路に飛び降りて逃げたから、警察の事情聴取というやつを体験したわけ」 「素直に、綺麗だよって、言えばいいのにね」 「なんで、線路を逃げるんだろうなぁー」 「電車が止まって迷惑だよね」 「馬鹿だよぉ」 「電車が来たら、死んじゃうじゃん」 「地下鉄にぶつかったの?」 「いつもと同じよ。みつからなかったみたい。……きっと、今頃とぼけて仕事をしているわよ」 「ふーん」 「でもさ。麻友に言われたように、本物の毛を使っているから安心だよね」 「えっへん。私に感謝しなさい」 「麻友のお父さん、刑事だからね。本物を使えば、DNA鑑定されても安心だし」 「私はもう4回成功したわよ」 安奈はスカートをまくりあげて下着の中に手を入れると毛を抜いた。それにハンドクリームをつけてハンカチの間に挟む。 「こうやれば相手の指にもねばりつくしね。……毛を取り過ぎて、もうすぐ無くなっちゃうわよ」 安奈が下腹部をポンとたたくと、友達はケラケラ笑った。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加