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「でもぉ、潮時かもねぇ」麻友がいう。
「どうしてよ。やっと面白くなってきたのに」
「5人も線路に降りて逃げたんでしょ。おまけに、どこに逃げたか分かっていないし。警察も本格的に捜査をすると思うのよねぇ。逃げた男が捕まって痴漢事件の共通点が分かったら、私たちの悪戯だってばれるかもしれないしぃ。それにほら、進学の準備もあるしぃ」
「それもそうね。私も親には、勉強しろって、文句ばかり言われてる」
「確かに。今日のオジンも花子さんを知ってたな。もう、地下鉄の花子さんは都市伝説になった。私たちの計画は実現したのよ」
「そういえば、お父さんも知っていたなぁ」
「安奈のお父さんは中学の教頭だったね。もう、中学生にも地下鉄の花子さん伝説が広まったのかぁ」
「麻友の勘は当たるからね。止めようか?」
「うん、そうだね」
安奈はピアノの鍵盤をポロロンと叩いた。
「でもぉ、地下鉄の花子さんなんて、安奈、よく思いついたよね」
「やだ。言い出したのは麻友じゃない」
安奈はクルリと麻友に向きを変えた。
「違うわよ。朋美に言われたのよぉ」
麻友は朋美に向かい、ギターの弦をピーンーと鳴らす。
「私じゃないわよ。私は安奈から聞いたんだもの……」
「まぁ、誰でもいいじゃない。3人の成果よ」
3人は、地下鉄の花子さんの都市伝説創りにピリオドを打つことにした。
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