第一章 幽霊の幽子(通称)

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「それって、浄霊をすること自体、初めてってことだよね?」 「そうだよ」 「そうだよって・・・・」 「だって可哀想なんだよ、この子。毎日毎日悪霊に脅かされて、そりゃー怖いんだってさ。普通、そんな話を聞いたら助けてあげたくなるでしょ?」    「まあ・・・・うん」 本心では余り関わりたくないけどね。 ここで麗子の表情が変わった。何かを思い付いたらしい。 「良い考えがあるよ」 「何よ? 悪い考えだったら言わないでね」 幽子は嫌な予感がした。この予感が当たらなければいいと本気で思った。 「一緒に行こうよ」 ほら来た。 麗子は凄く嬉しそうな顔をしている。 「あのさあ、どうして私が行くのさ?私が行く理由なんて何もないじゃん」 「あるよ」 麗子はまだニコニコとしている。 「あ?何?」 「一人より・・・・二人の方が二倍強いから」 「はあ?」 「それに、どうせもう死人なんだからこれ以上は死なないでしょ?だったら怖くも何ともないじゃない。まさか、死んでるくせにビビってるんじゃないの? はあ、情けない・・・・・・」 麗子はそう言うと、深い溜息をつきながら馬鹿にするような上目遣いで私を見ている。おいおいおい、その目は止めてよ。悔しい。何か悔しいからさ。たかだか人間のくせに幽霊を完全になめているとしか思えない。よーし、分かった。じゃあ、私の目の前でキッチリと浄霊してみなよ。 「じょ、上等だよ。行ってやろうじゃない。その時になって泣きべそかいて逃げ出さないでよね。ダサいから」 「大丈夫よ。あんたじゃないからさ」 「くっ」 そんなやり取りをしている内に、隣の女が口を開いた。 「次で降りるから」
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