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麗子は、美鈴の形相を見て、キレやすい性格なのだと悟った。キレやすい性格にはスキが多い。周囲の状況も見えなくなる。他人の気持ちも離れていく。良いことなど何一つ無い。
ところが、この性格が好都合だといわれている輩がいる。
悪霊である。
麗子は後ずさりをするような気持ちになった。
お金儲けの為に二つ返事で軽々しくも引き受けてここまでやってきたが、本当に悪霊だとしたら私には打つ手が無い。
そうだ。幽子だ。幽子は何処に行ったのよ?
幽子に確認させて、もしも悪霊でも何でも無かったら、その時はやっぱり悪霊が憑いていると、いかにもそれらしい顔をして美鈴に言ってしまおう。
麗子は美鈴に全ての部屋を見せて欲しいと言った。
美鈴の機嫌は傾いたままではあるが、その要望は素直に受け入れ、それではと、二階から順にということで階段の所まで行って見上げた。階段は狭くて急勾配であった。
美鈴は無言で階段を上り始めた。麗子は少し間隔を開けて階段を踏んだ。そして、上を見上げると最上段で幽子が首を横に振っていた。
麗子は幽子の姿に嬉しくなった。
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