64人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
「…本当は今日、迷ってたんです。ここに来るの」
「どうして?」
声がワントーン低くなる。
「だって…」
「俺達、何も悪いコトしてないでしょ?」
うつむいた視界の中で、そっと彼に手を掬われる。
「俺は、茉麻に会いたかったよ。大人になって綺麗になった茉麻に会えて嬉しい」
愛おしむように手の甲に口をつける。
こういうところはさすが、アメリカ帰り。
そもそも今日会うことになったきっかけだって、彼が久しぶりに帰国したことから始まったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!