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「久しぶりだね」
5歳年上のそのひとは、屈託なくそう言った。
「…お久しぶり、です」
名前は……確か、燿大(アキヒロ)さん。
「……よく、わかりましたね」
お互いに会ったことがあるのは数回だけ。
たしか最後に会ったのは、私が高校生の頃だ。
「可愛い子は覚えてるんだよ」
顔は思い出せないのに、このひとの社交的な明るいところは、はっきり覚えていた。
誰とでもすぐに仲良くなる、このひとだから会ってみてもいいんじゃないか、なんて簡単に考えていた。
ほんの、出来心。
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