invisible thorm

砂を噛む

「透瑠の事を騙してるのね」

「騙す？」

心外だというように
くっ、と笑った。

「私はただ"子供が出来た"と言っただけ。
結婚しようといったのは彼の方よ」

またひと口、お茶を飲んで
丸いお腹に手を当てた。

「彼はこの子が生まれてくるのを楽しみにしているわ」