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どこの駅から乗っているのか知らないが彼女はいつもシートに座っているから始発に近い駅なのだろう。
本を幸せそうに読む、その彼女を盗み見るのいつしか僕の楽しみになっていた。
ある時は笑いを噛み殺して、またある時は両眉を情けなく下げながら今にも泣き出しそうに、またまたある時は口元を引き締めながら目を怒らせて。
まるで百面相だ。話に入り込みすぎるのだろう。
駅三つなんてあっという間でつまらない
出来ることならもっと長く彼女を眺めていたいが、残念ながらいつもの駅に着くと僕は心の中で彼女に別れを惜しみながら地下鉄を降りる。
本に夢中の彼女に僕の存在を気付かれないまま。
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