君の瞳に映る僕の瞳の中にもきっと君が

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その日も彼女を眺めていた。 今日は余程愉しい話らしい。 周りを時々気にしつつも顔をにやにやさせながら読んでるのが、また可愛い。 それを僕はじっと見詰める。 突然彼女が我に返ったかのように頭を上げた。 慌てて僕は顔の向きを変える。 彼女をずっと見ていた事を気付かれた? 顔を背けながら冷静を装うが、心臓は早鐘を打っている。 それでも懲りずに、あなたの事は見てませんよーという体で目の端に彼女を映した。 彼女はまだ頭を上げたままだった。 読みかけの本を開いたまま、一点を見詰めながら何かを真剣に考え込んでいるような。そんな視線だった。 大丈夫、僕を見ているわけではなさそうだ。 こちらを見ていないと分かると、再び無遠慮に彼女を見詰めた。
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