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『人は常に仮面を被り生きている。
仕事用の仮面に、友人用の仮面。
さらには家族にさえ仮面を被る。
自分で素顔だと思っている物も、
自分の素顔だと思いたい仮面だ。
仮面舞踏会さながらのこの世で、
天使の仮面をかぶっている悪魔、
悪魔の仮面をかぶっている天使。
仮面の下の素顔は・・・・・・?』
そこまで読んで本を置いた。
「下らんな・・・、実に下らん。」
暇潰しにランダムに選んだ本を借りたが、
全く面白く無い。
まぁ、無料なのだから金銭的な損は無い。
「ね~、鏡ちゃん。」
「ん~、どうした?」
「あのね~、友達がね~、元彼からね~、
お金取り戻したいんだけど、出来るかな~?」
「借用書は取ってあるのか?」
「ううん、貰って無いんだって~。」
借用書が無いなら無理だ。
相手が借りていると認めているのならば、
取り返す事も出来るが、
貰った物だと言われればそれまで。
しかし摩子の友達か・・・。
恐らく高校の同級生とかであろう。
高校生ならばあの手が使えるな・・・。
俺はソファーから起き上がり、両手を広げて言った。
「この大首領である俺様にとって、
借金を取り戻す事など些末な事だ・・・。」
「ん~、良く判んない~!
出来るの?出来ないの?どっち~?」
少しムッとした様子で摩子は言った。
「勿体振るな鏡司、
一言、出来るって言や~良いだろ~よ!」
龍成が台所からコーヒーを手に出てきて、
俺の前に置きながら言った。
「まぁ、それが鏡ちゃんクオリティーだから、
仕方無い事だと思われ~。」
パソコンのキーボードを叩きながら、
凛斗が言った。
「じゃあ、出来るんだね~!」
「ああ、任せておけ!」
「やったぁ~!」
摩子がスマホを手に取り早速電話を掛けている。
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