第1話 俺の進路は

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第1話 俺の進路は

 昔の友人によってねじ曲げられた。 『高校はこっち戻って来るべぇ? 楽しみだっちぃ』  およそ1年ぶりぐらいにかけてきた電話で、奴は開口一番そう言った。 「行かねえよ。何で当然みたいな口調だよ」  俺は風呂上がりに冷蔵庫から牛乳を取り出しつつ、携帯を肩で挟みながらサネの話を聞いた。 『外の世界は十分楽しんだろお? そろそろこっちの世界に戻っておいで』 「外の世界最高だぞ。お前こそ外の高校受ければいいだろ」  夏の夜に、冷えた部屋で冷たい牛乳は最高である。  夏休みはまだ1ヶ月以上先だが、今夜は熱帯夜だ。  俺は携帯をスピーカーにしてキッチンに置き、心置きなく牛乳を一気した。 『俺はパピー納得させられるほどの理由ないもん。外の学校に行くための』 「俺もそっちにいく理由ないから無理だな」 『あるよたっちんには』 「なにが」  牛乳を戻し、食器やコップが水につけられ放置されているシンクにもう1つ洗い物を追加すると、俺は携帯を持って50畳あるリビングへ移動した。 『たっちんもう志望校決めてんの?』 「湊丞行こうと思ってる。誘われてるし。設備も良さそうだったしさ」  100インチのテレビをつけ、チャンネルを適当に回す。
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