第1章 黒部 洋平

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夏の白い光に照らされて、グラウンドはいつにもまして鮮やかな輪郭を曝け出している。 洋平は夏の無遠慮な日差しが大嫌いだ。 光は見えなくてよいものを白日の名の下に世界に暴く。 少し離れた場所からカーンと乾いた金属音とともに、若い男女の狂騒が聞こえた。 野球サークルのようだ。 同世代だろう男女がハイタッチを交わしている。 それは、洋平にとってはあまりにも遠い遠い異世界のようにしか思えない。
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