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目を覚ました僕は、再び眠りにつくのも悪くないと思わせる夜を見た。
魔女がケタケタと笑い出しそうな、大きな三日月が僕を見下ろしている。
月の手前、窓の向こう。鬱蒼とした森のような木々が次々と左から右へ流れていく。
その窓には疲れたような落ち込んでいるような、いずれにしてもきっといい気分ではないであろう僕が映っている。
ぬるま湯のような重い空気の中。
刹那。
魔女が笑い出しそうな月も、また鬱蒼とした木々も、窓に映った僕だけを残して消えた。
それはただトンネルの中へと再び戻っただけであるはずなのに、言いようのない不安が同時に僕の心へと戻ってきた。
そして、それだけなら良かったのだ。
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