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不安に満ち満ちた僕が窓の中、一人映っている。
否、一人ではない。
窓に映るその景色には、もう一人、僕の左隣に姿が見える。
隣はおろか、その車両には僕しかいないはずなのに、だ。
固まったまま、息を吸うのも躊躇われるほどの空気の中、先に動いたのは「それ」だった。
ゆっくりと立ち上がり、窓の向こうで固まっている僕を見下ろしている。
こちら側の僕は「それ」がいるはずの左側を見ることは到底できない。
「それ」はしばらく窓の中の僕を見つめていた。
電車は小気味よく走り続けている。
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