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ほどほどにしとけよと店主は酒瓶をテーブルへと置いていった。
ギルボアは嬉々としてすぐさま口をつけラッパ飲みで三分の一ほどを飲み
「じゃあ聞かせてもらおうか」
少女に話すよう促す。
「はい、すでにギルボアさんはご存知かもしれませんがこの国の状況を説明させていただきます」
「このアイオラ王国は海に囲まれた大陸の中央に位置し、元は複数の国々を寄せ集めて出来上がった国です。そして国の範囲としてはこの広大な大陸全てを覆っています」
「そうだな、大陸全土がいまとなってはアイオラ国だな」
「そして蒸気機関の発達により全土全てが蒸気機関車や蒸気船により移動がいままでよりもスムーズに行うことができるようになりました」
「もとはアイオラだけで発展していたのを他の地域にまで伸ばすってんだから、あの時の工事はほんと大規模だったな。大陸中が大騒ぎだったなあのときは」
「はい、しかしながらそのおかげで今日、私たちは人も物もより素早く西から東へ、北へ南へ移動することができています。皆はこうできようになったのも蒸気機関の発展のおかげと言いますが、そうではないのです」
「石炭だな?」
「はい、石炭で動かすことができる。より詳しく言うと、精巧な蒸気機関の仕組みだけを造ってもいまの私たちの技術では石炭がなければ動かすこともなにもできないのです」
少女は続ける。
「そして近年、石炭の産出量が全土で格段に落ち込んでいます。これが意味することは、誰でももうお分かりでしょう」
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