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「石炭が…、資源がなくなってきているということだな」
「はい、石炭がなくなっても代替の資源はいずれ発見されるでしょう。しかしこのままでは国中の資源が次第に尽きていくばかりです」
「『国外』に支援を求めようにも、大昔の部族たちの奇妙な技のせいでこの大陸の外へは濃霧のせいで船は進むことができない」
「そうです。その濃霧を晴らす方法もわかっていない今、これ以上この大陸の資源を有限ととらえ慎重に使っていかねばなりません」
「しかしながら現国王、ザハマールはそのこと頑なに認めようとはしないのです」
ギルボアは酒をまた一口のみ
「それは、残念だったな、嬢ちゃん」
とからかうように呟いた。
気にせず少女は続ける。
「加えて、体の異変を訴え始めるものが出始め、また各地で気候が徐々に変わり始めていることも新たに報告されるようになりました。確認された時期が蒸気機関を取り入れてからすぐ起き始めたことから、私はこれは全て蒸気機関を使用する『副作用』ではとわずかに感じております。そのためこれ以上蒸気機関の力に頼るのは危険と考えています。…ギルボアさんもそう感じていたから『この国は終わりだ』とおっしゃていたのではないですか?」
ギルボアはぐびっと再度ラッパ飲みをした。
「そうだな…あぁそうだ。そう感じたからもうなにをしても手遅れなんだよ。なにをしてもかわらねぇ、この国は、この大陸はこのまま少しずつ死んでいく運命なんだよ。」
「それともなにか?お前さんには打開策があるってのか?」
「一つあります」
力強く答えた少女はギルボアをまっすぐ見つめた。被っている白いフードの奥にある綺麗な瞳はギルボアの目をしっかりと捉えている。
「言ってみろ」
ギルボアはぶっきらぼうに言葉を投げかける。
「宝玉です」
少女はギルボアの眉がぴくりと動いたのを見逃さなかった。
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