心を動かす唯一の存在

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翌日。 会社に出社すると、デート本を貸してくれた宮本さんが俺のデスクに近付いて来た。 「おはよ、椿。昨日のデート、どうだった?」 「最高の一日でしたよ。雑誌、かなり参考になりました」 「だろ?で、結局どこ行ったの?」 「水族館とか、遊園地とか」 「おっ遊園地行ったんだ。夜の観覧車乗った?結構良かっただろ」 「……正直、結構良いどころじゃなかったですけどね」 観覧車の中で交わした、彼女との三度目のキス。 完全に邪魔が入らない、二人きりの空間。 ……幸せ過ぎて、今朝も何度も思い出していたあの場面。 「え、お前まさか……ベタな事、やっちゃったの?」 「……」 「うわ、凄いな……いや、若いっていいな。俺には絶対無理だわ」 「多分俺、宮本さんの年齢だとしてもベタな事しますよ」 相手が莉菜なら、我慢なんて何の意味もない。
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