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「……俺のせいで、怖い思いさせてゴメン」
莉菜の、少し火照った熱を持つ頬に優しく触れた。
彼女を傷つけたくはなかったのに。
結局俺は、こんな風に怖い思いばかりさせている。
口では守ると言っておきながら、口だけの自分に腹が立つ。
自分の未来への不誠実な態度が、莉菜を悩ませている原因だとわかっているのに。
「未来と、もう一度ちゃんと話してみるよ。わかってくれるまで、何度でも」
「……うん」
もう一度話し合ったところで、未来の気持ちが変わるかはわからないけど、今の俺に出来る事と言えばそれしかない。
「……ていうか、今更だけど俺って、最低だな」
「どうして……?」
「莉菜は俺が守るとか言っておきながら、全然守れてない。莉菜は何も悪くないのに、結局嫌な思いばっかりさせてるし」
「……嫌な思いばっかりじゃないよ」
彼女は、潤んだ真っ直ぐな瞳で俺を見つめた。
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