抱いてきた敵対心

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「今すぐ言わなかったらキスするよ。すげー濃いヤツ」 「……」 ていうか、言わずに逃げられると思うなよ。 完全に何かを隠している事を悟った俺は、徐々に彼女の顔へ唇を近付けた。 「い、言うから!」 そして彼女は、ゆっくりと深呼吸を繰り返した後、一人の男の名前を呟いた。 「賢が、お店に来て……」 元彼の名前が出てくると思っていたけど、出てきたのは莉菜が一番心を許している男の名前だった。 「告られたんだ」 「え……」 「ていうかあの人、今更何言ってんだよ……」 正直、完全に予想外だった。 あの人が莉菜に対して恋愛感情を抱いている事は、昔から見ていればすぐにわかった。 でも彼は絶対に、莉菜に想いを伝えるような事はしないと思い込んでいたから。
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