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あの人の気持ちに気付いてはいたけど、莉菜には絶対に気付いてほしくなかった。
友情が恋愛に発展する事なんてよくある事。
ただ、莉菜とあの人の友情は、俺が思っているよりもきっと深いはずだ。
その分、恋愛に発展する事は難しい。
だけど、もしも発展してしまったら。
きっとそれこそ、俺なんかじゃ太刀打ち出来ない。
何より莉菜があの人の事を、心の底から信頼している事を俺は知っているから。
「まぁ、気付いてたのは俺だけだと思うから莉菜が落ち込む事はないよ。豪とか美月さんも知らないんじゃない?」
「類は気付いてたんだ……」
「当然。莉菜ばっかり見てたんだから、嫌でも気付くだろ」
そう。
嫌でも気付いてしまったんだ。
あの人の、莉菜を見つめる視線が、自分と同じだという事に。
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