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莉菜が高校生の頃、週末に莉菜の家に遊びに行くと、大体いつも美月さんとあの人も莉菜の家に遊びに来ていた。
莉菜はいつも、隣にいたあの人と楽しそうに笑っていた。
あの人の前で飾らない彼女を見て、まだガキだった俺はガキなりに嫉妬していた。
「なぁ、豪。あの人、何でいっつも遊びに来てんの?」
「あの人って?あぁ…賢君の事?いい人だよ。この間、サッカーのゲーム貸してもらったし。めっちゃ強いよ賢君」
豪は、完全にあの人に懐いていた。
「類もゲーム教えてもらえば?」
「俺はいい。……ていうか、莉菜と随分仲良さそうだよね」
「中学の頃から姉ちゃんの親友だからね。何か兄貴みたいで俺、好きなんだよね」
「……ふーん」
「あんなに仲良いんだからさ、友達なんかやめて付き合えばいいのにな。賢君みたいな心広い人なら、姉ちゃんみたいな女ともうまくやっていけそうなのに」
「バカな事言うなよ」
俺はあの頃から、あの人の存在を疎ましく思っていた。
二人の仲の良さを間近で見ていたら、そう思わずにはいられなかった。
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