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「莉菜の返事を待ってる立場で、怒るのはおかしいって頭ではわかってんだけど」
いや、本当はわかってなんかいない。
嫉妬で、狂いそうになる。
立場上、莉菜の想いはまだ俺には伝わっていないから、彼女を束縛する事も独占する事も出来ない。
でも、そんな立場なんて正直どうでもいい。
俺以外の男の事なんて、考えないでほしい。
……今すぐ、俺の事だけ見て。
「ドキドキした?あの人にキスされて」
「え……?」
「どう思った?俺にキスされたときと、違った?」
「全然……違った」
彼女は、弱々しい声で俺の期待通りの言葉を呟いてくれた。
結果俺はその返答に満足して、頬を緩める。
「それなら、許してあげるよ」
そして、ゆっくりと彼女の熱い唇に、自分の唇を重ねた。
何度も、何度も。
ちゃんと、彼女の記憶に残るように。
あの人とのキスを、記憶から消し去るように。
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