抱いてきた敵対心

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そんな潤んだ瞳で見上げられたら、帰れるはずないだろ。 こういう事、無意識でやっちゃうから本当に困る。 「……ありがとう」 「莉菜にそんな事言われたら、帰れないに決まってんじゃん」 俺はすぐに莉菜が寝ているベッドの傍に座って、彼女の熱を持った手を優しく握りしめた。 「まぁ、俺的にはこの状況、ある意味拷問だけどね」 「え……」 「暗い部屋の中で、熱で身体が熱くなった莉菜と2人きり。しかも、そんな状況のときに限って甘えてくるし」   まぁ、でもこんな幸せな拷問なら、喜んで耐えるけど。 「俺って、我慢強いと思わない?」 「……でも、キスはしたよ」 「あれは不可抗力だから」 彼女は少し納得いかなそうな表情を見せたけれど、数分後には俺の手を握りしめながら寝息を立て始めた。
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