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彼女の寝顔を見つめていると、こっちまで眠くなってしまう。
やっぱり、泊まって行こうかな。
なんて、ギリギリまで迷ったけれど、結局彼女の手をゆっくりと離して寝室を出た。
そして、真っ暗な廊下を通って玄関まで辿り着き、音を立てないように出て行こうとしたのに。
靴を履くとき、少しだけ屈んだ瞬間にスーツのポケットから携帯が滑り落ちてしまった。
ガタン、と床に物が落ちる音が、静かすぎる空間に思いきり響き渡る。
ヤバ。
とりあえずこれ以上音を立てて豪が起きてこないように、落とした携帯をすぐに拾って家を出た。
「あぶね……」
ていうか、豪のヤツ、いつまで莉菜の家に居候するつもりなんだ。
いっその事、豪に全て話してしまいたい。
自分が好きで仕方ない女性が、莉菜だという事も。
とりあえず次豪と話す機会があったら、そのときに莉菜の家から出て行くように説得しよう。
なんて、また自分勝手な事を考えながら帰宅した。
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