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そんな日々がしばらく続いたけれど、未来が莉菜の家に行くような事はなかった。
俺に毎日のように未来からかかってきていた電話も次第に来なくなった。
諦めてくれたのかと、思った。
でもそんな思いとは、真逆な考えも頭をよぎっていた。
これで、終わるわけがない。
そしてそんな予感が的中する日がやってきた。
その日は先輩の宮本さんと、昼からクライアントの事務所へ出向いていた。
「今日、この調子だと会社に戻るの夜になりそうだな」
「そうですね」
予定では、夕方には会社に戻るつもりだったけれど、クライアントの事情で仕事が長引いてしまって。
宮本さんが言ったとおり、会社に戻れたのはだいぶ遅くなってからだった。
それから残っていた仕事を急いで終わらせ、宮本さんが車で家まで送ってくれて帰宅したときには23時をとっくに過ぎていた。
……疲れた。
リビングのソファーに倒れ込み、上着のポケットから携帯を取り出す。
莉菜からメールが来ていない。
いつもならこの時間には、もうメールが届いているはずだ。
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