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「諸橋さんには今の会話の事、言わなくていいですからね。また何かうるさく言ってきそうなんで」
「はいはい。で、今日も残業しないで彼女とデート?」
「……デートじゃないですよ」
「え、違うの?」
「……尾行です」
「ストーカー?」
「その言い方やめて下さいよ」
なんて言ったけど、やってる事はストーカーと大して変わらない。
「何で尾行なんてする必要あるの?」
「ちょっといろいろ事情があって。それに今日は、彼女の方じゃないんです」
いろいろ含みを持たせたところで、宮本さんは仕事で呼ばれてしまいそこで会話は終わった。
俺は早めに仕事を切り上げて、社内の誰よりも早く会社を出る。
向かったのは莉菜のサロンではなく、未来が勤めている会社だった。
本気の恋じゃなかったとしても、二年間付き合っていた人だ。
未来の行動パターンくらい、大体読める。
未来ならきっと、すぐに莉菜に対して何か行動を起こすと思っていた。
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