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未来は俺の言葉を聞いて、パッと両手の爪を隠した。
「……やっぱり莉菜さんに聞いたんだ。私があの人のお店に行ったこと」
「別に莉菜からその話をしてきたわけじゃないよ。俺が無理やり聞き出しただけ」
「何で庇うの?あんな人の事。……あの人の事を好きだから?」
「そうだよ」
今更、好きな相手を隠したって無意味だ。
未来は、俺の好きな人が莉菜だってもうわかっているはずだから。
「未来も、気付いてたから莉菜の店まで行ったんだろ?……莉菜の家にも」
「類に好きな人が出来たって聞かされて、すぐに思い出したの。昔、類が大事に持ってたあの人の名刺の事」
「やっぱりね。そうだろうと思ったよ」
「実際あの人の家に行ったら、あの人から類と同じ香りがした。……許せないって思った」
「恨むなら俺にして。完全に俺の片想いなんだ。莉菜は何も悪くないんだから……」
「悪くないわけないでしょ!?だって、あの人がいなかったら私こんな思いしてなかった!」
未来は、抑えていた涙をポロポロと零しながら張り裂けそうな声で想いを叫んだ。
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