心を読み解くpassword

12/38
前へ
/38ページ
次へ
「何言って……」 「俺が莉菜をどれだけ好きなのか、聞きたいなら話すけど。聞く?」 「……やめて」 「正直、全部俺のツボなんだ。外見はもちろんだけど、あの大雑把な性格とか、豪快に笑うところとか、真剣に仕事に取り組む姿とか……」 「やめてって言ってるでしょ!」 そう。 そうやって、俺の事を憎めばいい。 付き合っていた事を後悔するくらいに。 「わかっただろ?俺がどれだけ最低なヤツか」 「……」 「でもこれが俺の本音なんだよ」 だけど当然、これで話が終わるはずはなかった。 結局未来との話し合いは、深夜にまで及んでしまった。 彼女は、最後渋々納得した様子を見せた。 「わかった。……類の事、諦めてあげる」 そう言って彼女はこの日の別れ際、泣きはらした目を歪ませて、意味深な笑みを浮かべた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

212人が本棚に入れています
本棚に追加