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その笑みを見た瞬間、この日の話し合いなんてほとんど無意味だったんじゃないかと思ってしまった。
……未来は、まだ納得していない。
結局重い気分のままタクシーで自宅に帰宅した。
家に着いた俺は、すぐに莉菜にメールを送信した。
本当は電話でいろいろ話したかったけれど、さすがにもうこの時間は寝ているだろうから。
『今、終わった。時間はかかったけど、ちゃんと話し合ってわかってくれたよ。詳しい事は、次会ったときに話すから』
本当はまだ解決していないけど、莉菜を少しでも安心させるために俺は嘘をついた。
わかってくれなかったなんて言ったら、きっと莉菜は自分を責めるから。
莉菜は少しも悪くないのに。
未来を傷つけているのは、俺なのに。
メールを送信して服を着替えようとした瞬間、携帯から電話の着信を知らせる音が流れた。
電話?
まさか。
画面を覗き込むと、着信相手は俺が愛してやまない人で。
こんな時間に莉菜が起きているなんて思っていなかった俺は、内心慌てて電話に出た。
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