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「莉菜ってほんと、無頓着だよねそういうとこ」
別に隙があるような印象はないのに、ふとしたときに急に警戒心を薄めるときがある。
莉菜は絶対そんな自分に少しも気付いていないんだろうけど。
「まぁいいや。俺が教育し直せばいいだけの話だし」
「教育?」
「ずっとそんなんじゃ、危なっかし過ぎて俺が困る」
「困るって……」
「言っておくけど俺は相当嫉妬深いから。他の男と二人きりで居酒屋なんて、絶対行ってほしくない」
「……」
「そもそも、もっと日頃から警戒心持っておいた方がいいよ。莉菜だって、隙がある女だなんて思われたくないだろ?」
「それはもちろんそうだけど……」
「けど、じゃなくて。大体莉菜は昔から……」
すげー面倒くさい男だと思う。
でも、本気で莉菜の事が心配だからつい口出ししたくなってしまう。
莉菜は正直だから、俺の説教じみた言葉に少し面倒くさそうにしながら相槌を打つ。
「ちゃんと聞いてんの?」
「ハイハ……」
「教育しがいがあるね」
「……類に教育なんてされないからね。もう寝る!おやすみなさい」
「電話くれて、嬉しかった。ありがと。おやすみ」
ちゃんと嬉しかった気持ちを伝えてから、彼女との電話を切った。
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