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「あ……そうなんですね……」
「今日もその女性に会いに行くから残業しないんですよ。あ、諸橋さんに残業しないで帰る理由バレたら面倒くさいんで内緒でお願いしますね」
「……わかりました。じゃあ、失礼します」
そして彼女は少し浮かない表情のまま無理に笑顔を見せて、自分のデスクへ戻って行った。
「相変わらず、罪な男だね」
「うわ!ビックリした……」
突然背後から声が聞こえて振り向くと、すぐ後ろに宮本さんが立っていた。
いつからここにいたんだ、この人……。
「いたならいたって言って下さいよ」
「いや、何か青木さんと良い感じなのかなと思って。邪魔しないようにしてたんだけどね」
クスクス笑いながら平然とそんな思ってもいない事を言ってのける宮本さん。
本当、勘弁してほしい。
「良い感じなわけないじゃないですか」
「でもあの子、諸橋が言ってた通り本当に椿に気がありそうだったね」
「実際どうかは知らないですけど。変な期待させたくないんで」
「うん、いいんじゃない?。変に気持たせる方が可哀想だしね」
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