心を読み解くpassword

22/38
前へ
/38ページ
次へ
そしてしばらく待ち続けていると、やっと仕事を終えた未来が会社から出てきた。 前回彼女を待っていたときは同僚らしき女性と3人で出てきたけれど、今回は1人だった。 気付かれないように少し距離を取って、彼女の後ろを歩く。 未来はまず、会社の近くのカフェに入った。 そこで夕食でも食べたのか、カフェから出てきたときは随分時間が経っていた。 そして電車に乗って、着いた場所は莉菜のネイルサロン。 サロンの入口付近に立って、中の様子を窺っているようだった。 サロンに乗り込む気なのか? そう思って近付こうとすると、未来は突然進路を変えた。 莉菜のサロンの扉を開ける事はなく、また駅の方へ向かって歩き始めた。 ……どういうつもりだ? 中に客がいるから、入るのをやめたのか。 俺はいろいろな思考を張り巡らせながら、そのまま未来の後を追った。 そして、歩き続けて彼女が辿り着いた場所は、やっぱり莉菜が住んでいるマンションの前だった。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

212人が本棚に入れています
本棚に追加