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もうだいぶ遅い時間になっているけれど、莉菜はまだ帰ってこない。
今日、莉菜はあの人に会うからだ。
莉菜とあの人との話し合いがどれだけ時間がかかるのかなんてわからない。
あの人だって、莉菜に伝えたい事ならいくらでもあるはずだから。
だからきっと、帰ってくるのは相当遅くなるだろう。
もしかしたら深夜になるかもしれない。
だけど俺は未来がここで莉菜を待つ限りは、ここから離れるわけにはいかない。
未来がここまで来たっていう事は、莉菜に何かしらの接触をするつもりだから。
未来はただひたすら前を向いて、莉菜が現れるのを待っていた。
未来がここまでするのは、間違いなく俺のせいだ。
俺が、ずっと未来を利用してきたから。
心の中でずっと、裏切り続けてきたから。
こんなどうしようもない俺のために、誤った行動はしてほしくない。
そんな事言ったら、多分誰だって、勝手だって怒るだろうけど。
そんな事を思いながら、未来から少し離れた場所に立っていると、遠くの方から聞き慣れた音が聞こえてきた。
もう、歩く音だけで莉菜だってわかってしまう。
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