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俺は未来に自分の気持ちをわかってもらうために、わざとそこで莉菜の少し震えていた手に触れた。
「莉菜って、ホント俺の事見てないよね」
「そんな事ないけど……」
「まぁ、いいけど。その分、俺が見てるから」
その瞬間、莉菜の頬が少しだけ赤く染まった気がした。
「あ、顔赤くなってる。照れてんの?」
「な、赤くなってないし!」
俺はそんな可愛くてたまらない莉菜の事だけを愛しそうに見つめる。
するとその様子を見つめていた未来が、やっと口を開いてくれた。
「……あり得ないんだけど。何?その会話」
俺はその声を聞いた瞬間、確信した。
未来の憎しみの対象が、莉菜から俺に変わった事を。
そしてこの瞬間、未来が俺に失望した事を、声で悟った。
「だから、こういう事なんだよ。俺が好きなのは莉菜だけ。未来とはもう一緒にはいれない」
「……イトコ同士で、気持ち悪いと思わないの?」
「俺は思った事ないね。たまたま好きな女がイトコだったってだけの話だろ」
すると未来は、思いきり俺を睨みつけて、莉菜が淹れてくれたばかりの熱いコーヒーを一気に俺の顔にぶちまけた。
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