心を読み解くpassword

3/38
212人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
とりあえず携帯をベッドの上に置いたまま、会社へ向かう支度を始めた。 シャワーに入って、軽く朝食を食べて、歯を磨いて髪をセットする。 そしてスーツに着替えるために寝室のクローゼットを開けたとき、ベッドの上に置いていた携帯がチカチカと点滅しているのが見えた。 『別れ話するつもりなら会いたくない』 さっきは、しつこいくらいに絵文字が画面の中を動き回っていたのに。 次は『、』も『。』さえもない文章。 その後メールを返信しても、未来から返事が返ってくる事はなかった。 それでも今日の内に解決したかった俺は、仕事が終わってから未来が働いてる会社へ向かう事に決めた。 「もしもし類?今日の夜ヒマ?久し振りに飲みに行かね?」 その日の午後、仕事の休憩に入って携帯の画面を覗き込んだ瞬間、タイミングよく豪から電話がかかってきた。 「ごめん。今日はパス」 「えっマジで?何だよ残業?」 「いや、今日未来と会うんだよね。もう一度、会ってちゃんと話そうと思って」
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!