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俺に突然電話で居場所を聞かれた豪は、わかりやすく戸惑いながらも答えてくれた。
「どこって……今、居酒屋で愛と飲んでるけど」
「今日、帰ってくるの?それとも愛ちゃんの家に泊まり?」
「は?何で?」
「いいから、どっち?」
豪が今日泊まりで帰ってこないなら、俺はこのままここで莉菜を抱く。
もう、我慢の限界なんてとっくに越えている。
だけどもしも深夜に帰ってくるようだったら、ここを離れて莉菜を俺の家に連れて行く。
どっちみち、選択肢は二つしかない。
どっちに転んだとしても、俺は今日絶対に彼女の傍から離れない。
……もう、離れたくない。
「どっちって……まぁとりあえずこの後愛の家行くつもりだから、多分泊まるけど」
「わかった」
「ていうか、何だよさっきから」
「デートの邪魔してごめん。じゃあ、また」
俺は強引に通話を終わらせて、床に零れたコーヒーを拭きながら莉菜が帰ってくるのを待った。
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