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「でも、オバケがすぐそこに居るのにどうやって出るんだよ!?」
「じゃ、じゃあ先生と先輩たちが気付いてくれるまで、ここに居るってのか?」
「そんな事したら絶対あとでボコボコにされんだろうが!」
シャンシャンと鳴り響く音も怖いが、朝練に遅刻して先輩達に囲まれるのも怖い。
散々みんなで話し合った結果、実体のないオバケより先輩たちの方が怖い、という結論でまとまり、ドアを開けたら全員で飛び出ようと決まった。
「いくぞ! いっせーの……せっ!」
内開きのドアを引き、みんなで出ようとした瞬間だ。
杖が勢いよく飛んできて、部屋の中心に突き刺さった。
「うわぁぁぁぁ!!」
腰が抜けそうになりながらも、みんな我先にと猛ダッシュで道場へと向かった。
道場では遅く到着した一年を叱る気満々の先生と先輩たちが居たが、岩倉たちのただ事ではない状態に、一様に驚いたようだった。
「お前ら、どうした!?」
「お、おばけ! おばけが出たんです!」
「……はぁ?」
予想もしてない返答に、先輩たちは「お前らバカか!」と怒り出し、先生も「寝坊しただけだろ!」と怒鳴りつける。
しかし、なんと言われても「本当におばけが出たんです」と言い続ける岩倉たちの態度に、先生も呆れ気味になった。
「本当におばけが出て杖が飛んで来たっていうんなら、お前らの部屋に行けばその杖があるんだろうな!?
よし分かった。今から俺がお前らの部屋に行って、本当におばけが出たのか見て来てやる!」
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