果てしなく甘い夢

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美月の話によると、誰かを想って何も手につかなくなるなんて事は、恋をしたら普通によくある事らしい。 特に、嫉妬なら尚更だ。 それはもう、私を哀れむような目で見つめながら淡々と恋愛論を語ってくれた。 「30歳目前の女に、こんな話しなきゃいけないなんて思わなかったわ」 「……だって、仕方ないじゃん」 「何が仕方ないのよ。私、やっと今わかったわどうして今まで椿の恋が続かなかったのか」 美月は一人でウンウンと頷きながら納得している始末。 「それはズバリ、椿の恋愛力の低さが原因だったのよ」 「恋愛力って?」 「もう、そういう事を聞いちゃう時点で失格だからね」 それから延々と、恋愛をする上で私に足りない部分は何なのかを説教混じりに説明された。 「もう……せっかくの休みに説教されたくないんだけど」 「私だってしたくてしてるんじゃないの。椿と類君の恋がちゃんと続くようにアドバイスしてあげてるんだから。有り難く聞きなさいよ」 それまではあくびをしながら面倒くさそうに聞いていた私だったけど、類との恋が長く続くためのアドバイスだと言われたら聞かないわけにはいかない。 この恋は、終わらせたくないから。 私の悪い癖だ。 恋が始まった途端、すぐにその恋の終わりを想像してしまう。
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